2010年12月25日土曜日

ハーバードの人気授業

「章光堂クリスマスコンサートも無事終わり
(これについてのレポートはまた後日!)
スタッフのオフィスも、一人また一人と
冬休みに入り、すっかり年の瀬モードです。

さて、2010年も残すところあと1週間足らず。
みなさんはどんな出来事が印象に残っているでしょうか。
私がこの一年を振り返って思い出すことはたくさんありますが
ひとつあげるとすれば「ハーバード」をたくさん耳にしたこと。

日本人の海外留学者が減り、ハーバード大学の学部には日本人が
3人しかいない一方で、中国、韓国、インドの同校への
留学生は倍増しているという話題や
ハーバード建学以来初めて一般公開された
マイケル・サンデル教授の「正義」の授業。
NHKで数週間に渡って放映されましたし
サンデル教授は東大へもやってきましたね。
みなさんはご覧になったでしょうか。

延べ履修者数が14000人を超すこの授業ですが
実は、これをしのぐ人気の授業が
ハーバードにはあることを最近知りました。
現在ハーバード大学最大の授業である
「肯定心理学(ポジティブ・サイコロジー)」です。
(ちなみに履修者数第3位は
「肯定心理学とリーダーシップ」だそうです)

この授業について書かれてある
『ハーバードの人生を変える授業~52の実践』によると
(著者は授業を教えているタル・ベン・シャハー教授)
ポジティブ心理学とは、「人間はどうしたら幸せになれるか」を
科学的調査・研究により追究する学問。
別な言葉で言うと
「われを忘れて物事に集中するフローや
喜びなどのポジティブな状態の研究」だそうです。
(島井、宇津木、2008)

「ポジティブ心理学」と聞くと
日本では自己啓発の分野で盛んに語られている
「ポジティブ・シンキング」などを思い浮かべますが
ちゃんと学問として確立されているのですね。

さて、この「肯定心理学」にとても興味を持ったので
調べていくうちに、興味深いことを知りました。
人のウェルビーイングのためには仕事が
必要であるという事実です。
それも、高い要求で、自分でコントロールできる
度合いが高い仕事が。

島井氏と宇津木 氏の論文によると
高い要求と低いコントロールは
最も厳しいストレスをもたらし
低い要求と高いコントロールは、
内的動機付けを損ない
低い要求と低いコントロールも
「期待されていない」と感じさせ
やる気を失わせるのだそうです。

高要求で高コントロールな状態で
仲間のサポートが得られ、
職場でのアイデンティティが確立されるとき
「現在の喜び」と「未来の利益」が
見事に両立し、至福の状態を感じることが
できるのだとか。

最近卒業間近の4回生から
「いつまでも学生がいいな」
「仕事に耐えられるかな?」と言う声を
多く聞きます。
「仕事」=「辛いこと」という考えをまずはぬぐいさり
「さぁどうやってフローを感じる環境を整えようか」という
気持ちで挑んでみてください。
遊びでは絶対に得ることのできない
ピーク・エクスペリエンス(心から楽しむ状態)を
感じることができるはずです。

では、みなさんとって
来年も実り多い一年でありますように!

引用・参考文献:
島井哲志、宇津木成介(2008)「ポジティブ心理学における
リーダーシップ」経営行動学第21巻第1号