2010年7月31日土曜日

ELSクイックセミナーの様子2

こんにちは。
ELSスタッフ 山内です。
今回は、同じくELSスタッフである泉谷さんにお願いして、担当されたセミナーの様子を伝えてもらいます。


皆さん、こんにちは。ELSスタッフの泉谷です。今回は、前回の山内さんの「ELSクイックセミナー」のレポートに引き続き、泉谷が担当した「自己と他者を導く『メタ認知』」と題したセミナーについてご報告させていただきます。

まず、「メタ認知」とは何か?「メタ」とは「より高次の」という意味で、高いレベルから自分の認知活動(知覚する、記憶する、理解する、問題を解く)などを見て、それらの活動を評価し、制御することです(伊藤、1993)。言い換えれば、まるで外から見ているかのように自己を客観視できる能力のこと。更に、ただ見るだけでなく、自己の行動や思考のパターンを把握し、ネガティブな事柄には修正をかけ、ポジティブなものは次回にしっかり再現できるような、制御力が伴います。

このメタ認知能力、1970年代に提唱され始めた概念ですが、最近は教育やビジネス分野でも大変注目を浴びているそうで、メタ認知能力が学習力やリーダーシップ能力を高めることについての研究も進んでいるようです。

では、なぜ私が「メタ認知」に着目し、ELS生に伝えたいと考えたかについて少しお話しすると、私自身、過去20年ほどの歩みが、メタ認知に支えられてきたと感じているのです。書籍などによると、この力を鍛えるためには、言語を思考の道具として用いることが欠かせないとあります。私は、アメリカの大学で教育を受けましたが、その学びのプロセスの中で、「何を感じましたか?」「どう考えますか?」と問われ続けることによって、思考を言語化することの重要性を思い知りました。そして、その気づきを経て始めたことは書くことでした。社会の中で疑問に感じたことや日常の出来事を文章に綴り、なるべく人に読んでもらうように努めるようになったのです。そのせいでしょうか、「自分をうまく制御できている」という確たる認識まではありませんが、いつも離れたところから自分を見ている感覚がありますし、自分の人生の手綱を握っているという充足感を感じることができています。


では、私の話はここら辺りにして、メタ認知を高めるために、一体どのように書けば良いのでしょうか。セミナーでは、「考える力はこうしてつける」(by ジェニ・ウィルソン&レスリー・ウィング・ジャン)で紹介されている以下のポイントをご紹介しました。 

● 新しく学んだ知識とすでに持っている知識を関連づける
● 気持ちを表現する
● 質問する
● 情報をまとめる
● 自己評価する
● 将来に向けて計画する
● 仮説を立てる

新しい知識や経験を得た後に、上記のプロセスをたどりながら、振り返りを文章化することで、学びを深め、次からの行動に活かすことができます。また、振り返った内容を他者と共有し、クリティカルな意見を得ることも大事なプロセスだそうです。

今回参加してくださったELS生からは、「普段から『どう思うのか』と自分に問いかけたい」「日記を再開したい」などのコメントをいただきました。メタ認知を高めるためには、自分の関心分野以外の話題にも取り組むことが大切です。私自身、自己がより制御できるように、もっと実践していきたいです。

引用:伊藤昌子(1993)「メタ認知のはたらき」市川伸一・伊藤祐司(監修)『認知心理学を知る』おうふう、p119-128    ジェニ・ウィルソン&レスリー・ウィング・ジャン(2004)「考える力はこうしてつける」新評論




再び山内です。
先日、7月29日(木)で、7期生が修了しました。本当に7期生のみなさん、お疲れさまでした。
これからは、修了生としてしっかり自分の能力を発揮してください。また、自分自身の能力を磨き続けてください。
次回は、この修了式の様子をお送りできればと思います。
それでは失礼します。(ELSスタッフ 山内)