2010年11月16日火曜日

第1回クイックセミナー

 みなさん、こんにちはスタッフの泉谷です。この週末は愛媛大学の学祭でしたが、学生のみなさんはどのような形で参加されましたか?模擬店での販売でしょうか?裏方で何かを組み立てたり、美術を担当したでしょうか?講演会などの運営をした人もいたでしょう。

普段とは異なる役割を担ってみることで、今まで知らなかった自分の側面に気づくことができます。学祭などの大きなイベントが終わった後は、是非少し時間を取って、自分の言動を振り返ってみてくださいね。


では、今日はELS第8期からの新しい取組み、クイックセミナーについてご報告いたします。このクイックセミナーは、過去の修了生アンケートの「もっと先生から学びたい!」「○○について学びたかった!」などの声を受けて、ELS教員、スタッフそれぞれが得意とする分野で、なおかつELS生に是非学んでいただきたいことをテーマに授業前の時間を利用して行うものです。

第1回目の11月11日は「セルフリーダーシップ論~リーダーシップのツール“セルフ”をリードし続けるために~」と題して泉谷が担当しました。以下その概略をご紹介させていただきます。


ELSの理念では、「セルフリーダーシップ」を以下の4つに分けて定義しています。

自己認識:自己の価値観を多様な視点で振り返りそれに基づいた行動をとる力

順応性:身の回りの多様な状況や価値観を需要し適応する力

ストレス管理力:ストレスの原因を理解し、他者に配慮しながら自らのストレスを予防する力

自己啓発力:自分自身を高める意欲を持ち、実際に伸ばした能力を組織に還元する力

近年セルフリーダーシップは特に注目されており、様々なリーダーシップ論(「EQリーダーシップ」、「リーダーシップ・チャレンジ」、「7つの習慣」、「社会変革モデル」等)でも、セルフリーダーシップが集団に対するリーダーシップ発揮の起点や基盤であると説明されています。

ではなぜセルフリーダーシップがそこまで求められるのでしょうか。

本セミナーでは、以下の二つの点に着目しました。

1. 不確実性が益々高まることが予測されるこれからの時代には、自律がますます求められ、自分で自分を動機付けする術を持っておく必要がある。この自己を常にリードする姿勢やスキルを持っていなければ、環境の変化に対応できないばかりか、自分を見失い、何事にも行き詰ってしまう危険性がある。

2.自分のモチベーションを高め、自分を変えられるのは自分だけ。
人の欲求は様々であり、何によってやる気を促されるかは人それぞれ。自己を理解し、自分を導く術を知らなければ自己の成長はなく、よって他者への肯定的な働きかけや、社会変革への貢献も困難。

では、セルフリーダーシップ能力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。本セミナーでご紹介したのは、「気持ちと向き合う」です。自分の素直な感情を知り、あるがままを認め、そのような自分を大切にしようと、自分に対し責任を持つ時、自律の心が生まれます。
そして、他者との関係も豊かなものであるように努め、他者を尊重する意識が生まれるのです。

そこで、自分と向き合うための具体的な方法として、書くことについて解説しました。

みなさんの中にも、日記をつけたり、ブログなどで一日の振り返りを行っている人が多いでしょう。
本セミナーでは、セルフリーダーシップを高めるために、以下の要素を含んだ文章を書くことを提案しました。

1、 気持ち・思いを表現する

2、 新しく学んだ知識と既存の知識・体験を関連付ける

3、 質問する

4、 情報をまとめる

5、 自己評価する

6、 将来に向けて計画する

7、 仮説を立てる       

(ウィルソン&ジャン、2004)



上記全ての要素を含んだ文章を日々綴っていくのは、容易なことではありませんが、常日頃「私は○○と感じる」「○○に対してこう思う」「どうしてこう考えるのだろう?」「でも本当に○○だろうか?」
「次は○○してみようか」と考えたり、書くことを心がけてみてください。数ヶ月すると、きっと自分の中に変化を感じ始め、その後に周囲の人や物事との自分の関係性の変化を感じ始めることができるでしょう。


以下参加者の方からのコメントです。

「自分の感情を抑えようとするとき、冷静になろうと思うだけで特に工夫はしてこなかった。書くことにより自分の感情をコントロールできる・・・」

「字の力はあると思う」

「やっぱり感情がキーワードだったんだ。昔から感情を出せと周りの仲間に言われ続け、今毎日がうまく周りだしている・・・」

参考文献:

・Kouzes, M.J. & Posner, Z.B. (2008). The Student Leadership Challenge - Five Practices for Exemplary Leaders.San Francisco. Jossey-Bas

・ウィルソン、J & ジャン、L (2004). 「考える力」はこうしてつける新評論

・ 中原 & 金井(2009) リフレクティブ・マネージャー 一流はつねに内省する 光文社新書

・野田 & 金井(2007)リーダーシップの旅 見えないものを見る  光文社新書

・袰岩(2001) 感じない子ども 心を扱えない大人 集英新書