8期生が修了し、2週間が経ちました。「ああすればよかった」
「もっとこうすればよかった」と、毎度のことながら、
3ヶ月間の自分自身の学生との関わりを振り返り、
思いをめぐらせているこのごろです。
さて、8期生のゼミナール全体の振り返りと、
修了スピーチの内容で、私が一番印象に残ったのは
「8期生はお互いの関係が薄かった」という言葉です。もちろん8期生全員が他者と距離を置いていたわけではないでしょう。
総じて「薄かった」というだけなのでと思います。
実はこのことは、スタッフ・ミーティングにおいても話題になっていました。
受講生それぞれが、課題に真剣に取り組み、
セミナーなども良いものに仕上がっているけれど、お互いが切磋琢磨し、互いを高め合うクリティカルな関係が構築されているのか、
私達は疑問に感じていました。その時に佐藤先生が言われた言葉が、
このブログ記事のタイトルである「コミュニティ無しに学べない」という言葉です。
(以下は、泉谷なりに佐藤先生の言葉を解釈したものです)。
「講義を聴いているだけでも、新聞や本を読むだけでも学べる」
と思う人もいるでしょう。
確かに、人との関わり無しに知識を獲得することは可能です。
しかし、みなさんがこれから社会人として行きてゆく世の中は、
今にも増して情報にあふれ、早いペースで新しい価値が生まれ、
国境を超える課題が山積し、またそれらが複雑にからみあう
ものになっているでしょう。そのような中で、自分の専門知識を用いて
生産的なチームワークに貢献するためには、
高校までの学校教育で中心的であった、
座学や反復練習だけでは十分ではないのです。
では、どのようなことが求められるのか。
それは、日々の授業や課外活動における他者との相互作用の中で
「新たな知識・技術・行動・思考・態度・価値感・世界観を獲得したり
生成したりする」*学習です。
求められているのは、他者や事象との対話なのです。
そのような機会は、じっと待っていても
向こうからやってくるものではありません。
自分を開いて、いつもチャンスを伺い
その時がきたら、相手に「ねえ○○についてどう思う?」と
しかけていくことが大事なのです。
また物事や経験を丁寧に振り返り、自分の言葉で捉え直し
他者と共有することが重要です。限られた職場世界の中で、日々の忙しさに追われ続けると、
自分に都合の良い情報だけをたよりにしていたり外界の変化にすっかり乗り遅れていたり
野心を忘れそうになったりします。
先週末、東京で、あるイベントに参加しました。
社会起業家100名以上が、新しい事業計画を持って集い互いの事業のブラッシュアップや、情報交換を行う場です。
環境保全、人材育成、市民バンク、地域活性など、様々な分野における
革新的なアイデアを持った大学生や社会人にたくさん出会い、凡人の私は、思いっきり開眼させられました。
学生にコミュニティで学ぶことの大切さを伝えるのであれば
自分自身が、常に大学というコミュニティや、
それ以外のコミュニティにも積極的に関わり
刺激を受け、新しい価値感や、広い世界観を
持ち続けなければならないのだと
改めて認識した次第です。
8期生のみなさん、またしばらくELSの仲間と対話していないという
修了生のみなさん、「その時」を待っていても、むこうからはやってきません。
この春休み、時間を作って自分から問いかけ、発信してみませんか。*高間邦夫(2005)「学習する組織」、光文社